開業しようと思った至った経緯
- 井筒 清史
- 2019年12月2日
- 読了時間: 4分
そもそもブックカフェを開業しようと全く思ってもない人生でした。
修士で大学院を修了してNTT Comwareに就職し、東京でサラリーマン生活を行っていました。
システムエンジニアという職種でした。お客さんの情報システムを構築するという重要な職責を負いますが、お客さんからいただいた大きな仕事を上司が細分化して若手に与えてくれるのでそれ程、責任はなく、全体感が見えない、仕事の成果物やお客さんの反応が見えない状況にずっとフラストレーションを溜めていました。
私は小規模 自営業の家に生まれた人なので小ぶりの仕事でもいいので、もっと経営に近いところでお客さんに積極的に絡んで責任や喜びを伴う仕事を手掛けたいという思いが、3年も仕事をすればこみ上げていました。
大学時代に知ったMBA(経営学修士)という学位を海外で取得して若いうちにもっと経営に近い仕事を手掛けたいという気持ちがありました。
留学後、そういう仕事ができる環境に転職したい、そして行く行くは起業したいと思っていました。
場所も人が多くビジネスが盛んな東京かなと漠然とではありますが思っていました。そういう思いから留学準備をはじめ、頑張っていたのですが英語ができないため、苦戦して3年が経過していました。
サラリーマン生活6年目の時に、母が病気になってしまい、体力があまりない家族には任せっきりにはできないと思い、悩みましたが意を決して仕事を辞めて東京から地元 大阪に戻ってきました。
病気のことを知らなかったために自分が看病に関わったら治るものだと思っていて、快方に向かってからまた留学 → キャリアを再開すればいいと安易に思っていました。
しかし、現実は厳しいものでした。
看病しつつ、Cranfield UniversityのMaster of Designに合格、経営とデザインを繋ぐ新しいタイプの経営学を学ぶことができるチャンスを掴んだのですが、
母の病気は免疫疾患で治るものではなくてコンディションをコントロールしていき、生涯に渡って上手に付き合っていく必要のある類のものでした。
ということは自分は母の元から離れられないということを意味していたのです。
このような状況から自分が海外に行くことは考えられず、1年間大学に入学を待ってもらいましたが、結局、1年後に留学を断念する旨を伝えることになってしまいました。
TOEFL30回、TOEIC6回くらい、IELTS3回くらい、GMAT1回を受験し、留学予備校にも通い、通算200万円くらい投資をした結果がこれでした。その時に知り合った友人は概ね、留学していました。
取り残された感、寂しい気持ちが残りました。
そんな時、悪いことは続くものです。
複数の仕事をこなしながら母の看病をしていたのですが先生や治療方針の選択ミスにより母を死に追いやる人生最大の失敗を犯してしまいました。
失敗を取り返すために24時間365日で母を看病し、容態がよくなるのかどうかわからない、人生で最も厳しい日々を送りました。
海に沈められて息ができないのに生きていなくてはいけない。
しっかり看病しないといけない。
という状況でした。
とにかく毎日、命を削って祈りながら看病に当たる地獄のような日々を絶望感の中、送っていました。
幸い、母は持ち直してくれましたが、私自身が看病に燃え尽きたように空っぽ状態になり、何のために生きているのか、今まで何がしたかったのか思い出せない、そんなことを考えるのがとても億劫な人に成り果ててしまいました。
そんな折、本屋でたまたま発見した福岡のブックスキューブリックの本を読んで、
これなら地元で小規模でしかも、「母を看病する」という制約がありながらも続けられる自分らしい起業の形が採れるのではないか?
と、留学を志す前の起業のことを思い出し、当時思っていた形とは随分違いましたが、自分らしい腑に落ちた目標に巡り会えました。
単に自分のためだけの目標ということではなく、
地元の人達が東大阪や布施をあまり誇りに思わない、映画館やスタバに行くとよく耳にする
「布施なのにこういうのがあるのね」
「布施の映画館やからいつも空いている」
という認識を変えるべく、地元にもそれなりに素敵な店があり、ゆっくりと落ち着いて楽しめる場所があり、それが普通であると感じてもらえる場にしていきたいという思いが芽生えていました。
それを実現するためにはまずStyle Booksが
いいセレクトの本が並ぶ雰囲気のいいカフェ!
といった印象を持ってもらえる場所にしないといけないと思っています。また一店舗だけでは限界があるとも思うのでそんな他の業態のお店が増えるようなアクションも取っていけたらと思っています。
ブックカフェを拠点に面白い人が増える、面白い人たちが何かを始める、面白いことが次々と起こる、触媒的な場所になれれば地元が面白い所になり、皆がいい町に住んでいると思ってくれると思うので、自分の好きなブックカフェという形をベースに起業を決意したのでした。

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